金曜日は魔法の日だ。平日の装甲をまとった世界は、金曜日の午前0時を境にひそやかに裂け、飲み会の招待状やバーゲン情報、そして「今日は早く帰るぞ」という嘘で満たされた新しい世界へと再生成される。
この現象には名前をつけるべきだろう。ブラックフライデー(買い物の狂宴)、プレミアムフライデー(おそらく上級者向けの早退術)、そして誰もが唱える呪文のような一言、TGIF(Thank God It's Friday)。どれも本質は同じ――金曜日が始まると世界が少しだけバグり、楽しさが増える。
では、その楽しさは誰が与えてくれるのか?上司?天?それとも帰り道のコンビニで見つけた缶ビールの神?答えは簡単だ。金曜日そのものが与えてくれるのだ。金曜日は気まぐれな神のようなもので、週に一度だけ短期的な幸福スパークをばら撒く。
たとえば、月曜日に育てた疲労の苗は、金曜日の午後になると一気に大木へと花開き、「今日はもう帰っていいよ」という甘い囁きが枝の間から降ってくる。水曜日にはまだ見ぬ可能性を暇つぶしに育て、木曜の夜にはその芽が小さな計画(飲み会、映画、即席の旅行)として膨らむ。そして金曜日、満を持して現れる新世界では、それらの計画が公式に承認されるのだ。
もちろん、金曜日の魔力は完全無欠ではない。たまに空振りする。予定は豪華なのに体力が追いつかず、結局ソファとピザとNetflixの愚行に落ち着くこともある。しかし、それすら金曜日の一部だ。期待と現実のギャップを抱えたまま、その日の空気を味わうのがいい。
結局、金曜日のすばらしさは合理的な理由では説明できない。数字や効率では語れない。だから私は提案する。来週の金曜日まで、小さな儀式を用意しよう。靴を一つだけ丁寧に磨くでもいいし、変な音楽を一曲だけプレイリストに入れるでもいい。儀式はその瞬間を「金曜日」として認証するスタンプになる。
最後に一つだけ注意がある。金曜日は贈り物をくれると同時に、月曜日という貸主への返済を要求する。週末の浪費は月曜の朝に利息付きで返ってくる。だがそれでも、金曜日が来れば私は財布を鷲掴みにされ、少しだけ羽を伸ばしてしまうだろう。
ありがとう、金曜日。来週もよろしく頼むよ。
綴りがわからない。もう10年以上プログラミングをしているというのに、毎回毎回、画面の前で立ち止まってしまう。
VSCode?VSCODE?vsCode?VScode?
こんなことで悩んでいる間に、バグは増殖し、納期は近づき、コーヒーはぬるくなる。
実は深刻な問題がある。正しい綴りがわからないまま、何度も何度もタイプミスをしている。StackOverflowで質問を検索するときも、Googleで公式ドキュメントを探すときも、ツイートするときも——毎回がロシアンルーレットだ。
時には「vscode」で検索し、時には「VSCode」で、時には祈りながら「Visual Studio Code」とフルネーム。
調べてみると、公式では「Visual Studio Code」を略して「VS Code」らしい。2語。スペース入り。
なるほど、私のようなプログラマーの99%がこれを知らず、自分勝手な略し方で日々を過ごしているのだろう。Redditで同志たちを見つけると、少し心が軽くなった。
どう綴ろうが、結局のところ動けばいいのだ。venv を有効化して、make html を叩いて、サイトが生成されれば、それで勝ちなのだ。
世界中のプログラマーが綴りで迷っているその今この時も、VSCodeは黙って我々をサポートしてくれている。
ありがとう、Visual Studio Code。そして、許してくれ、綴り。
仕事の合間に考え事している。
それから、少しだけ仕組みを理解した。ここは発露される場所。
でもその裏には深淵なる企みが眠っている。